< project

勝浦市芸術文化
交流センター küste

千葉県勝浦市に位置するコンサートホールを主体とする文化交流施設。外観開口部、およびホール内壁に、煉瓦を使用して意匠のポイントとすると同時に、外観では、外房の強い日射しを遮りながらも内部にやわらかな日射しを届けるルーバーとして、内壁ではその複雑な反射によって豊かな音色を生み出す装置として、それぞれ機能的な役割を担わせている。ねじりの方向、強弱により、多様な表情を醸し出すことのできる “ねじり積み” の採用によって、まるで布のような柔らかさを持つ新しい煉瓦の表情が姿を現した。

DATA

2014 設計/山下設計 施工/前田建設工業 所在/千葉県勝浦市

Photographer:
Forward Stroke inc. 奥村浩司

>

  • 勝浦市芸術文化交流センター küste
  • 勝浦市芸術文化交流センター küste
  • 勝浦市芸術文化交流センター küste
  • 勝浦市芸術文化交流センター küste
  • 勝浦市芸術文化交流センター küste
  • 勝浦市芸術文化交流センター küste

INTERVIEW

安田俊也

株式会社山下設計 東京本社
プリンシパルアーキテクト

煉瓦の持つポテンシャルを最大限に引き出す

煉瓦は、昔から使われていた建築材料。しかしながら、同じく伝統的な材料であるコンクリートや木、鉄などと違って、地震国日本では構造体としては使えない。そこで、コンクリートなどの壁に寄り添うかたちで装飾的に使われることがどうしても多くなるわけだけれど、僕はそれが面白くないと以前から感じていた。
煉瓦はとても魅力的な材料。画一的な表情しか持たない工業製品とは違い、焼き色がきっちりと揃っていなかったり、人の手で積んでいくことで多少の暴れが出たり、それらによる多様な表情が建築の豊かな存在感を生み出していく。外部環境の変化に柔軟に対応し、時間を経ても汚らしくならないことも大きな魅力だ。
今回のプロジェクトでは、本来ならばメインで勝負できる材料でありながらも、そのポテンシャルを存分に発揮しているとは言い難い煉瓦を、一旦壁から引き離し、独立した存在として建築の中に機能させることを目的とした。単なる装飾とは一線を画す煉瓦の新しい可能性を、機能という側面から追求できたことに大きく満足している。

PAGE TOP